アメリカではエタノールがホットになってきた。エタノールを石油に代わる燃料として広く普及させようというのだ。
エタノールが最近になって俄然注目されてきたのには米国自動車メーカーの動向が深く絡んでいるのではないか。ハイブリッド車で日本勢に完全に後れを取り苦境に立たされている米国自動車メーカーは、ハイブリッドで日本勢を追随するのではなく、エタノールエンジンを推進することで挽回を図ろうとしている。Wall Street Journal誌の最近の記事を見て見よう。
6月28日付けWSJによると、フォードモーターはハイブリッドの計画を後退させ、代わりにエタノールも使える"Flexible-fuel"な車を2010年までに倍増する、と答えている(別の記事によると販売目標は2010年に50万台)。さらにGMやクライスラーも同様の方針を採るようだ。これら自動車メーカーの背後には米国政府の支援もあるようだ。しかもエタノール車は実際に存在して、店頭で販売されている。
アメリカ国内で将来エタノールの爆発的な普及が見込めるとあって、多くのベンチャー企業がエタノール生成技術に取り組み始めた。とうもろこし、木材、といったものを材料にエタノールを合成するらしい。会社名や事業計画にエタノールと書くだけで投資家の注意をひきつけるようになってきてようだ。ちょっとしたバブルの到来だ。
このように、大企業やベンチャーが入り混じってのエタノール狂想曲だが、果たしてどの程度の成果があがっているのかまだなんとも分からない。まずは事業が十分成り立つ効率のよいエタノール生成方法が開発されないと駄目だし、それが出来たら次は大金を投じて大規模なエタノール生産プラントをつくり、さらにガソリンスタンドにエタノールを販売できる設備をおかなければならない。石油業界なども巻き込んでさらに大きな話になっていく。そう簡単には事は運ばないだろうが、石油価格の上昇が続く限り石油に代わるものを探そうと言うインセンティブが働いて、政府予算や投資マネーが投じられ、さらに大きくなっていく可能性がある。
ハイブリッド車では日本が先行したが、自動車業界やエネルギー業界の10年後の勢力図はどうなっているだろうか。アメリカの底力を侮ってはならない。
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