ERP分野にもオープンソース企業が現れた。最近のOSS流行を見るにつけそのうち来るだろうと思っていたが、やはりきたかという感じだ。会社名をCompiereというらしい。NEAから$6m(約7億円)の投資を受けたようだ。ちなみに創業が意外に古くて1999年、従業員は10名未満だそうだ。少人数でずっとやってきて、ここにきて業態転換したということか。
オープンソース化の流れは今や留まるところを知らず、ちょっと前にCRM分野のオープンソース企業が有名になったことでついにエンタープライズソフトの分野もオープンソースかと複雑な思いで見ていたが、ERP企業にまで広がったことでもうオープンソースに出来ないものはないと言える状況になった。
ERPと言えば90年代後半にはいいビジネスだった。世界中の大企業がこぞってERPを導入して業務改善を図っろうとした。ERPソフトウェアを作っているSAPやOracleに限らず関連産業が沸き立ち、アプリケーションのライセンス料もさることながら、ハードウェア、導入作業、さらには導入を円滑に行うためのコンサルティングなど、さまざまな企業がERPの周りに群がった。
ERPがヒットしたのは、ユーザにとってメリットがあったからだ。ERPは企業のビジネスプロセスを標準化して「理想のビジネスプロセス」を作り、ERPを導入することでそうした理想のビジネスプロセスを企業内に導入できると謳っていた。ERPにすれば、ユーザ企業は従来のようなカスタムメイドの業務システムを導入するよりも時間的・金銭的に効率良くシステムを導入できるらしく、しかも業務が改善されるという、こんな夢のようは話はない。多額の研究開発を費やして開発した高価なソフトウェアであったが、完成度が高かったこともあってか、あれだけ多くの企業に受け入れられた。つまり、ERPのヒットの背景には、製品の完成度の高さへの期待、言い換えれば「理想のビジネス環境を提供してくれる」というユーザーの期待があったのだと思う。実際のところどうなのかは諸説あるが。。。このユーザーの期待にかなったソフトウェアを作るには、それなりの研究開発費と時間を要したはずだ。
翻ってOSSによるERPはどうか。ERPに必要なビジネスロジックの開発費をOSSのビジネスモデルで賄うことが出来るのだろうか。個人的には大きなチャレンジだとと思う。
でも、ベンチャー企業なんだから、大手ベンダーが提供するのと同等なERPを作ろうなんて大上段には構えず、たとえばサイボウズが機能限定でも圧倒的に安価なソフトウェアを売り出してロータス・ノーツを駆逐したように、機能を絞り込んで安価にした手軽なERPというのがあってもいいのかも知れない。少なくとも経営資源が限られている中小企業にはそこそこのニーズがあるだろう。
CRMの分野では一足早くオープンソース化が進行中で、この分野のかつての雄であるSiebelは今や見る影も無く、Oracleに買収されてて久しい。ERPの分野でもOSS旋風が吹くかもしれない。
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