Googleが新しいタイプのストックオプションを発行したらしい。「将来の株価によって行使価格を決めるオプション」だ。
従業員向けのストックオプションは、行使価格を発行する時点の株価と同程度に設定するのが通常だ。そうでない場合、つまりオプションをもらう人が市場価格よりも「有利な株価」や「不利な株価」で株式を取得できるようにすると、前者は他の一般株主が黙っていないだろうし、後者ではそもそも従業員のインセンティブづけにならない。そんなわけで、オプションの行使価格は、発行時点の時価に収斂していくものだ。
しかし、株価が下落基調にあると単純ではない。オプションをもらっても、その後株価が下落してしまうと、わざわざオプションを行使して高い価格で株を買っても損するだけ、これではインセンティブにならない。先行き株価が下落する可能性が高いのであれば、オプションを従業員に与えてみても、従業員のインセンティブ効果は薄い、ということになってしまう。低めの給与ながらオプションを与えることで従業員に一生懸命働いてもらいたいと考える企業にとって、これは大問題だ。
そんな事情があってか、Googleが行使価格を市場価格に連動させるオプションを発行したらしい。
Google offers employees with underwater options a new option
VentureBeat 2009/1/22In its fourth quarter earnings report released today, Google announced that it would begin offering employees a one-for-one stock exchange option starting one week from today. The exchange will allow employees to trade their current stock options for options equal to the closing price per share of the stock on March 2, 2009.
それによると、Googleは1月下旬に従業員向けのストックオプションを発行するが、オプションの行使価格は3月2日の株式市場での終値にする、というものらしい。株価が軟調な時流に即したオプション政策と考えられる。
行使価格決定までの期間が1カ月である点が興味深い。「あと1カ月ぐらいは株式市場が落ち着かず下がる可能性がある」と見ているか、それ以上長い期間待つことはできない、ということか、、、
今回、Googleが市場連動型のオプションを導入したことで、従業員のインセンティブに悩む企業のオプション政策に影響を与えそうだ。
ちなみに、創業者であるSergey Brin、Larry Pageはもとより、CEOのSchmidtもこのオプションは持っていないらしい。 拍手!
はじめまして。先日、経済用語を調べていて、たまたまこのブログに行きあたりました。
投資に関する知識がほとんどないのですが、興味深い話題が分かりやすく解説されていて、思わず読みふけってしまいました。
これからも勉強させていただこうと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
投稿情報: マイ | 2009年2 月 9日 (月) 09:34