最近はパっとしない話が多い。米VCの投資マインドが冷え込んでいるとか、投資件数・金額が減っているとか、そんな話が大勢を占めているように見える。あまり嬉しい内容ではない。
米VC投資マインドの冷え込み: Silicon Valley Venture Capitalists’ Confidence Declines to New Low
米VC投資件数・金額の落ち込み: Surprise! Venture investments falling
そんな中、今週目についた多少なりともポジティブに思える記事がこちら。20%の社員のレイオフに踏み切ったネットベンチャーの社長の談話だ。レイオフ自体は悲しいことだが、そうした対策を早めに取る企業が増えることで、これから深まりそうな不況を乗り切る準備ができつつあるように見える。
引用: Q&A with SearchMe’s Randy Adams, on making cuts and surviving 2008/10/17
... visual search engine startup SearchMe had laid off 20 percent of its workforce.
インタビューの相手は、検索エンジン会社SearchMeのCEOであるRandy Adamsだ。SearchMeは検索結果をビジュアルに表示するサービスを提供し、Googleの牙城を切り崩そうとしたようだが、レイオフにより体力を温存させる方針に出たようだ。
Adams氏は何度も起業を成功させてきた経験豊かな起業家だ。そんなAdams氏によると今回の不況は過去とは違うらしい。
In the last downturn, there was a sense of invincibility that was pervasive in the Valley. Many inexperienced people didn’t want to believe that their companies could be affected and they over time learned that they were wrong.
まず、2000年以降のネットバブル崩壊に伴う不況の頃に触れ、当時シリコンバレーでは強気のムードがあったという。多くの人(投資家や起業家のこと?)が、経済全体が不況であっても自らの事業に悪影響を及ぶとは考えていなかったという。経験が浅かったということか。しかし、結果的に彼らは自らが間違っていたことを学ぶところとなった。
実際、私の周りでも2000年のバブル崩壊以降2002年頃までは、赤字企業に対して強気一辺倒でどんどんと資金をつぎ込むVCが後を絶たなかったが、結果的にそうしたVCは深い傷を負ってしまい、ひどいところは廃業に追い込まれる例も見受けられた。
The greatest difference for startups this time is that they have the opportunity to quickly assess the state of the economy and respond by being fiscally prudent, even if that means making difficult decisions. I predict that many more companies will come through this downturn because executives will make prudent decisions in the best interests of their companies.
しかし、Adams氏によると、今回の金融危機に際し、ベンチャー企業は経済状態を冷静に見極めて慎重な対応を迅速に取る機会がまだ残されている点が前回と大きく違うという。彼は、こうした慎重な対応を取ることで多くのベンチャー企業が今回の不況を乗り切るだろうと予想している。
レイオフの話を聞くのはつらいことで、職を失った人たちの話が今後あちこちで囁かれることになろうが、多くの企業がバタバタと潰れる事態に至るよりも、こうした企業が早く立ち直って再び雇用を増やせるほうがましだ。
前回の不況は2003年頃までだったと思うが、まだ鮮明に覚えている人も多いはずだ。人も企業も過去の教訓を活かして賢明に立ち回るしかない。
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