90年代後半、「インターネットマガジン」という雑誌に必ず綴じ込まれた大きな「地図」があった。A3版、もしかしたらA2版はあろうかという赤っぽい紙に記入されていたのは、インターネットのサービスプロバイダーの相互接続状況を示した、日本のインターネットの構成図そのものだった。その地図を見ることで、どのプロバイダーがどの程度の帯域の回線をどことつないでいるかわかり、どのプロバイダーが高速な通信を提供してくれそうか何となく想像が出来たものだ。
そんな日本のインターネットの地図の最新版(2007年3年版)が出たようだ。
インターネットサービスプロバイダー相互接続マップ(PDF版公開)
通常版とサマリー版(AS番号取得ISP版)が用意されているのでそれぞれクリックしてみると面白い。
通常版はほとんど解読不能だ。良くぞここまで網の目のようにISP同士が相互接続したものだと関心する。パケットのルーティング制御もさぞ複雑だろう。ネットワーク管理者の苦労が偲ばれる。
一方のサマリー版の方が理解しやすい。日本を代表するISPの回線状況がわかって面白い。この地図を見ると、大手といわれるISPの中でも差があって、太目の回線を少数つなげるところ、細めの回線を多数つなげるところなど、考え方に違いがあるようだ。比較的太い回線を多数並べているのは(やはりというか)IIJのようだ。
個人的には各回線とも「細い」ように感じている。この地図上に描かれた回線の多くが100Mbps~1Gbpsだが、いまどき個人契約の光回線でも100Mbpsクラスのスピードが実現されていることを思うと、そうした個人からのトラフィックを裁かなければならないISP同士の接続が100Mbps~1Gbpsというのはやや心もとない。いくら家庭に光回線を引いてもYouTubeの画像を鮮明に見れるとは限らないのは、このように途中を経由する回線が細ければ十分な帯域を確保することが出来ないからでもあろう。個人を中心とする旺盛な通信需要を考えれば、早急に10Gbpsクラスに切り替えていくニーズがありそうなものだ。しかし、ISP事業者としては無尽蔵に設備を増強するわけにも行かない懐事情もあろう。いまどき、個人ユーザはそうそう多額の料金をISPに払ってくれるわけではない。そのあたりのバランスが難しいところだ。
ISP業界にはもっと大規模な淘汰が起こる余地があるかも知れない。
最近のコメント