仮想化ソフトウェアのリーディング企業、VMwareがIPOする。US$110億ドル(約1320億円)を公募で集めるらしく、2004年のGoogle以来の大型株式公開になるとか。
VMwareは98年創業、仮想化ソフトウェアの先駆的企業として注目を集めてきた。売上高US$704百万ドル(約840億円、2006年12月)、従業員3,000人、IPO時の想定時価総額9,251百万ドル(約1兆1,000億円)というから巨大だ。最近の米国株式市場は先行き懸念される状況だが、VMwareのIPOについては市場関係者からは強気の声が聞こえる。SanJose Mercuryの記事を引用するとこんな具合だ。
Despite the turbulent financial markets, analysts said they anticipate the IPO would continue on schedule, with final pricing determined Monday and the shares released for trading as early as Tuesday. With its substantial revenue and growth, "I think VMware is exceptional," said Brenon Daly, a financial analyst at the research firm 451 Group. "I don't think it will be vulnerable".
最近の米国のハイテク投資のバリュエーションは上昇傾向、2000年前後に投資された企業がバブル崩壊の荒波を乗り越えて着実に成長し、ここに来て花開きつつある。今回のIPOが次の大きな展開への布石となることを期待したい。
VMwareは仮想化の市場を普及させるためか、自ら開発したソフトウェアを一部無償で配布している。そうやって市場の裾野を広げながら年間800億円もの売り上げを上げるのだから立派だ。VMwareの成功の軌跡は大いに研究しがいがありそうだ。
参考: 仮想化とはサーバー、ストレージなどのハードウェアの構成単位と、そのハードウェアの上で動いているソフトウェアの動作の単位を切り離して自由に管理できるようにする技術で、例えば安価なPCサーバーを大量に並べ、その上で動くソフトウェアの数(プロセス数もしくはスレッド数)をユーザーの利用状況に応じて可変できる。仮想化のメリットについては日系BPの記事が詳しいので引用させてもらおう。
企業で仮想化ソフトを使う主なメリットは,物理的なサーバーのコスト削減である。一般にファイル・サーバーやメール・サーバー,Webサーバーなどを個別のマシンで運用している場合,効率が悪い。各サーバーには平均すると30%から40%程度の負荷しかかかっていないからだ。
しかし,個別のマシンを1台に統合すると,サーバーのリソースを有効活用している分,特定のサーバー・アプリケーションの負荷が上がった場合に,サーバーの能力を超えてしまいやすくなる。そうなると,負荷が上がったアプリケーションを別のサーバーに移動させるなどの作業が発生してしまう。
このようなサーバー統合のデメリットを抑えるのが,仮想化ソフトだ。仮想化ソフトには,実行中のOSとアプリケーションをそのまま他のサーバーに移動できる機能(ライブ・マイグレーション)を備えるものがある。負荷が上昇したときに,他のサーバーにOSごと移動できる。性能の異なるサーバーを複数運用している場合,その時々に「重くなる」アプリケーションを高性能なサーバーに配置し,「軽い」アプリケーションをそれ以外のサーバーに逃がすといった使い方もできる。
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