台湾のPCメーカー、Acerが米国のGatewayを買収するようだ。買収額はUS$710百万ドル(約850億円)。最近のGatewayの時価総額がUS$680百万ドルだから、ほぼ妥当な価格だろう(参考株価)。8月27日付WSJ誌の報道を引用させてもらおう。
Taiwan's Acer Inc. said it had reached an agreement to acquire Gateway Inc. in a deal that values the U.S. company at about $710 million and pushes Acer past Lenovo Group Ltd. as the world's No. 3 vendor of personal computers.
今回の買収によって誕生する新会社はLenovoを上回って世界第3位のPCメーカーが誕生することになるようだ。LenovoはLenovoでPackard Bellの買収に動いているようで、吸収合併によって規模の拡大を追求しているようだが、今回のAcer-Gatewayの合併はこれに冷や水を浴びせた格好だ。世界のPCメーカーの間では合従連衡による生き残り競争が起こっているようだ。
The deal appeared to mark a double blow to Lenovo, which has been the world's No. 3 PC vendor since buying the PC business of International Business Machines Corp. in 2005. Lenovo disclosed earlier this month that it is in talks to buy a stake in Packard Bell BV, a Netherlands-based PC maker. That deal was aimed at giving the Chinese company a leg up in the European consumer market, where Acer is especially strong.
この合併の目的は、スケールメリットの追求によるコストの削減と、双方の会社が得意とする地域へのクロスセルの拡大のようだ。SiliconValley.comの記事を引用すると
The merger will result in reductions in per unit procurement and component costs, and also create an opportunity for the cross-selling of product portfolios, he added.
成熟市場となったPC市場では、激しい価格競争が繰り広げられているようだが、この市場で利益を上げるのは難しいらしい。たとえば、Gatewayの年間売上高は3,800百万ドル(約4500億円)だが、純利益は約23百万ドル。純利益率は1%にも満たず、やっとの思いで黒字を確保したというレベル。直近の現金残高が255百万ドル、営業キャッシュフローは▲169百万ドルとなっていることを見れば、このビジネスは儲かっているとは言いにくい。Gatewayとしては資金が残っているうちに次の手を打たざるを得なかったはずだ。万策尽きて、買収される道を選んだというところではないか。
世界のPCメーカーは合従連衡によってコスト競争力をつけることで生き残りを図っている。日系メーカーはこれにどう対抗すべきか、出方を見守りたい。
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