昨年来の金融危機により、世界中のIPO市場は十分機能を果たせなくなった。米国でも"the death of IPOs"なんていう言葉がよく聞かれており、機能不全の状態が続いている。おまけに金融危機によって投資銀行も機能低下したため、M&Aの仲介機能まで弱まっている。投資資金の出口をIPOやM&Aに依存してきたVCには大きな問題だ。
そんな中、未公開企業の株式を売買するサイトが現れた。SharesPostというサイトだ。こうした仲介業者によって、未公開企業の売買が促進されるかも知れない。
引用: Trying to sell shares in a private startup? Join the club!
VentureBeat 2009/6/11SharesPost is just the latest in a host of companies that are trying to make it easier to buy and sell shares in private companies.
... SharesPost says it has an online platform that is the “first to bring true liquidity” to the private equity market, by directly connecting buyers and sellers of private equity, and then automating the stock sale to the buyer. And it does this without charging commission. It has listings to buy and/or sell shares of several recognized private companies, including Facebook, Tesla Motors, SolarCity and XDX.
未公開企業の売買を仲介するサイトは別にこれが初めてではないが、曰く「未公開企業株式の売買において”初めて”真の流動性を実現するオンライン市場」だという。Facebook, Teslaといった著名企業も名を連ねているという。
同じような動きは他でもある。例えば著名VCであるDFJのTim DraperらがXChangeというサイトだ。
Last month, well-known Silicon Valley venture capitalist Tim Draper and some other investors announced something called XChange, a private exchange for institutional investors to trade shares of start-up companies. Draper and his friends invested $1 million into the company in February.
... It plans to actually launch September. Start-ups need to have at least $20 million in revenue to participate in XChange.
こちらの方はTim Draper氏とその友人らがUS$1mを投資して立ち上げたらしく、今年9月にサービスを開始するという。このサイトに登録するベンチャー企業は、少なくとも$20Mの売り上げが必要だという。米国でIPOするには通常US$50Mから$100Mぐらいの売上が必要となるので、$20Mの規模で流動性を確保できるというのは朗報だろう。一種のグリーンシートのようなものと考えられる。
さらに、second market、startup exchangeといったサイトも同じようなことを始めているという。考えることは皆さん同じ、といったところか。
IPO市場が機能していない以上、こうした未上場株式を交換するビジネスが増えるのは朗報だ。しかし、未公開企業である以上、情報も十分公開されるとは限らずリスクも高い。ここに参入できるのはベンチャー投資に慣れた者に限られそうだ。また、仲介市場がさっそく乱立気味でもあるので、淘汰も十分起こりえる。まだまだ発展途上の動きだ。しかし、こうした動きが積極的に出てくるあたりがアメリカのダイナミズム、力の根源といった感じを受ける。ポジティブに評価したい。
ところで、日本では未公開株式の売買というとどこか胡散臭いイメージがあって、最近も未公開企業の株式を「値上がり確実」みたいな宣伝文句で売買した詐欺まがいの事件があったようだ。日本ではこうした話ばかりが目につくのはとても残念で、彼我のレベルの違いを嘆いてしまうのだが、こうした負の側面を排除しながら健全な流通市場をつくることがベンチャーへ投資する人たちの救いとなり、ベンチャー投資に活気を与え、ひいてはベンチャー業界の発展に資するところとなるはずだ。
東京AIMのようなプロ向け市場もいいが、こうした未公開株式の売買を促進する社会的インフラがあってもいいように思う。
日本でこうしたことをやれるとしたら、、、、、皆さんのお考えはどうでしょうか。
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