Googleというのはいつも新しいサービスを試行錯誤していて面白い。GoogleTrendというものがベータ・リリースされたようだ。特定のサイトがGoogleで「サーチされた件数」をグラフ化してくれる、というサービスだ。
調べたいサイトのトラフィックを直接計測しているわけではないが、「サーチされる件数」をグラフ化することでおよそのトラフィックの「トレンド」を示そうというものらしい。試しに使ってみるとこれがなかなか興味深い。
サイトはユーザが好きなものを指定できる。たとえば、試しにMySpaceとFacebookのトレンドを比較してみたら下記のようなグラフが出てきた。青線がMySpace、赤線がFacebookだ。Index化されているためトラフィックの実数は明らかにされていないが、まさに「トレンド」はよく判る。
グラフだけでなく、使われている国や都市の分布、言語の分布なんてものまで表示される。
先の例では、MySpaceはアメリカやオーストラリアから検索され、Facebookはカナダやイギリスでしばしば検索されるようだ。
そもそもこうした「サーチされた件数」のトレンドが、サイトのトラフィックに連動しているかどうかは明らかではない。でも、「サーチされた件数」は「関心の高さを表す指標」であるこことはほぼ間違いないので、サーチ件数が多いほどそのサイトへの関心が高まっているとは言えそうだ。関心が高まればそれだけ将来のトラフィックも増えると考えるのが自然だ。
「サーチされた件数」はサイトのトラフィックの「先行指数」のようなものではないかと考えている。先行指数というのは、景気判断を仕事としているエコノミストらが景気の先行きを読むために注目する指数、例えば「民間設備投資額」などがそれだ。民間企業が設備投資を増やせば、経験的にそれに引き続いて景気が上向くことが多く、景気そのものに先行する指標ということでしばしば注目される。GoogleTrendがあらわすサーチ件数のトレンドは、こうしたサイトの先行きを見る上で注目されるように思う。
Webサイトのトラフィックは各企業が独自に公表するものしか情報がなかった(ように思う)が、こうした第三者からの情報を得られることで透明性が高まり、分析が容易になる。サイト運営者にとっても利用者にとっても良いことなのではないか。
ところで、試しに日本の代表的なWeb企業であるMixiを調べてみたが、こんな具合のチャートが出てきた(Mixiに対して直接他意があるわけではありません)。
2006年をピークに検索される件数が頭打ち、減少傾向になっているのがわかる。これをどう解釈したら良いだろうか。
まず考えられるのはMixiはメジャーになって久しいため大方のユーザーのPCや携帯にブックマークされている可能性が高く、いちいち検索しているユーザーはもはや多くない、という解釈が成り立ちそうだろう。一方で、Mixiに馴染みのないユーザーが検索エンジンをたたいてMixiを訪問するような件数が減った、違う言い方をすれば(少なくとも検索エンジンからの)新規ユーザーが減りつつある、と言えなくも無い。そもそもMixiは招待性だから検索エンジンから新規ユーザーが来ることはない、という割り切った考え方もあろう。皆さんはどのように思われるか。
最後に、興味深いトレンドを一つ。Google, Yahoo, MSNのトレンドを調べてみた。
青がGoogle、赤がYahoo、橙がMSNだ。Googleのサーチエンジンで検索された結果のため、そもそもYahooやMSNへ行こうというユーザがGoogleでサーチするかという問題もあるのだが、トレンドを見るだけでも興味深い。特にMSNのトレンドが。。。。
いづれにしても、GoogleTrendは興味深い分析材料を提供してくれる優れたツールと言えそうだ。
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