ご存知、「Web進化論」の梅田氏の手によるシリコンバレー流の金言集が出た。シリコンバレーを代表する有名人、例えばAppleのSteve Jobs、GoogleのLarry Page, Sergey Brin, Eric Shumidt、AmazonのJeff Bezos、LinuxのLinus Torvalds(彼はシリコンバレーではない)、IntelのAndrew Grove、といった人たちの名言が詰まっている本。ベンチャー関係者であれば座右の銘にしたいと思う言葉がいくつも見つかるはず。
シリコンバレーには世界のどことも似ていない特別な空気がある。新しいことにチャレンジすることが絶対的な「善」とみなされ、転職すれば皆が「おめでとう、で、今度は何をやるんだい?」と問いかけ、失敗しても「残念だったね、でもまたやるんでしょ?」とあっけらかんとした雰囲気すらある。しがらみなんて関係ないし、むしろそうしたことを断ち切って新しい世界を切り開くことを良しと考えている。この本に書かれている数々の名言は、そうした特別な雰囲気を醸し出しているシリコンバレー独特の発想や流儀が溢れている。
巨額の富を生み出したAppleやGoogleやIntelといった会社の行動原理が「富」ではなくて「チャレンジ」におかれているようで、とても惹かれる。株価を上げるために行動する人がエライのではなく、何か新しいこと、皆が便利になること、かっこいいこと、そうしたことを実現する人がエラく、富は後から自然についてくるものだ、というような雰囲気が全体に流れてる。
日本では、いろいろな「しがらみ」が蔓延り、政治も経済も硬直化、先々の情勢も雲行きが怪しくなってきている感があるが、そうした時代だからこそこの本に書かれた精神に学ぶところが多いのではないか。
最近、GCP :Gross Cool Productsという言葉があるそうだ。経済用語であるGNP - Gross National Products(国民総生産)になぞらえ、"Cool"、つまり「かっこいい」をどれだけ生産したかを表す指数、というような意味だそうだ。「かっこいい」を多く生成する人、多く生成する会社、多く生成する国がエライという考え方なのだろう。この本に出てくる金言を呼んでいると、これからの世の中、金ではなくてCoolの方が重要なのではないか、という気がしてくる。
ベンチャー関係者、中でもネット系やIT系のベンチャーの人にはお勧め。きっと「何か」をつかむことができ、また勇気が沸いてくることでしょう。新しいことにチャレンジしたい人も大いにお勧めです。
最後に、梅田氏訳によるSteve Jobsの最高の名言だけ引用・紹介させて頂きたい。
君たちの時間は限られている。
その時間を、他の誰かの人生を生きることで無駄遣いしてはいけない。
ドグマにとらわれてはいけない。
それでは他人の思考の結果とともに生きることになる。
他人の意見の雑音で、自分の内なる声を掻き消してはいけない。
最も重要なことは、君たちの心や直感に従う勇気を持つことだ。
心や直感は、君たちが本当になりたいものが何かを、
もうとうの昔に知っているものだ。
だからそれ以外のことは全て二の次でいい。 スティーブ・ジョブズ
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