前回、ベンチャー投資の資本コストについて触れたので、せっかくだからターミナルバリューについても触れよう。
キャッシュフローが安定している企業の場合、ターミナルバリューを想定するのは比較的容易だろう(ターミナルバリューを含めて、少し体系的に勉強したい方はこちらがお勧め)。キャッシュフローが安定していれば下記の式により比較的簡単に求められる。
ターミナルバリュー=予測最終事業年度のFCF÷(割引率-成長率)
問題は、キャッシュフローが安定していない場合だ。成長著しいベンチャー企業では等比級数的に事業を拡大する計画を立てることがしばしばある。実際、年率100%を超える成長率で売上高が倍々に伸びていく企業もしばしば目にする。この様な企業では創業からしばらくの期間、キャッシュフローがマイナスであることも多い。このように急激に成長し、かつキャッシュフローがマイナス気味の企業の価値をDCF法で計算しようとすると、会社の価値のほとんどはターミナルバリューに依存することがわかる(試しにやってみてほしい)。これは重要なポイントだ。ベンチャー企業のような急成長の会社を価値をDCF法で算定しようとすると、ターミナルバリューを如何に計算するかで全体の価値が大きく左右されるということだ。
このように重要なターミナルバリューをどのように算定すべきかについては諸説あるが、私自身は類似企業の市場価格を参考にしながら算定するのが多くの場合に現実的だと考えている。DCF法はキャッシュフローを積み上げて計算するのが前提であるのに、そこにいきなり市場価格の概念を入れてしまうのはどうかと思うが、そこそこ納得できる価格が出てくるというのは説得力がある。
この点については皆さんの意見もお聞かせ頂ければ嬉しい。
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