日本に出張して電車のつり革広告をぼぉっと眺めていると、世相がいろいろわかって面白い。そんな中に人材紹介会社から「コンサルティング業界特集」みたいな広告が出ていた。人材紹介会社の広告でコンサルティング業界と言う場合の多くはITコンサルティングのことのようだ。アクセンチュア、アビームなど、よく聞く名前が列挙されている。この広告を見て、「日本のユーザ企業も再び前向きで積極的な攻めのIT投資を始めたということか」と考えていた。
景気が不況の時にはユーザ企業の多くはIT投資を控えめにするものだ。言い方は悪いが多少機能に劣るところがあっても最低限の投資でそこそこの成果を上げることが出来ればよしとする時代だろう。そんな時代には、パッケージものが良く売れたのではないか。例えばサイボウズやワークス・アプリケーションズはこの類だったのではないかと考える。2000年後のバブル崩壊時にこれら企業の業績が伸びたのは、こうしたユーザ企業側のニーズがあったことも背景の一つではないかと考えている。
一方、景気が良くなってユーザ企業が攻めのIT投資を行う場合、ユーザは「差別化」を求めるのが常だ。パッケージ製品を買って来てそのまま使うよりも、何らかの機能をカスタム・メードで追加し、より自分のニーズにあったものを実現したいという欲が出てくるものだ。ITコンサルタントの仕事が増えているとしたら、何か特別なことをカスタムメードで叶えて欲しいと考えるユーザー企業が増えていると言うことではないか。こんな時代にあっては、パッケージを製造販売するビジネスよりも、カスタム製品を提供する企業の業績が伸びやすくなるものだ。
カスタムとパッケージの2つの潮流は、景況感の影響を受けながら主役の座を取り合っているような気がする。
と、ここまで書いて、昨年あたりから騒がれたWeb2.0的な流れをどう解釈したらいいのかとふと考えた。Web上で実現したパッケージ的な機能を、他の誰かが取り込んで機能追加して新たな製品とし、また別の誰かがそれを再利用し、という具合にパッケージが相互に連携しながらより複雑で固有な機能を実現しやすくなる環境下にあっては、カスタムとパッケージは徐々に融合していくと言うことなのかもしれない。
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