ヘッジファンドがベンチャー投資を始めたらしい。DowJones社のVentureWire誌によると、ヘッジファンドによるベンチャー投資用のファンドとして1億ドル以上(約110億円以上)を集めた事例が出てきているようだ。
ヘッジファンドの起源は知らないが、元々は相場が上昇局面でも下降局面でも先物、オプション、スワップといった金融派生商品を駆使して利益を稼ぎ出す、いわば何でもありのファンドだと理解している。僕のイメージで言えば、「ファンド界のデイトレーダー」みたいなもので、基本的には短期の売買を繰り返している人たちではないか。なので彼らは上場株や債券といった市場で換金が容易なものしか手を出さないと思っていた。一方でベンチャー投資の世界では流通性に欠ける未公開株を使うので、ヘッジファンドのような「足の早い」ファンドにはそぐわないはずだった。それが一転してベンチャー投資を始めたというのだから驚く。
米国ベンチャーキャピタル協会(NVCA)の集計によると、世界のヘッジファンド残高は約1.5兆ドル(約165兆円)、これに対して米国でのVCファンド残高は2,610億ドル(約28兆円)。単純な比較は出来ないが、ヘッジファンド資金の一部がVC業界に参入しただけでもインパクトは大きい。先のVentureWire誌によると、潜在的にはヘッジファンド残高の5%がVC業界に流れる可能性があるという。
ヘッジファンドでは20億円や30億円相当ぐらいの資金は簡単に出すらしい。VCファンドが通常多大な時間をかけて行うデューディリジェンスもヘッジファンドは短期で済ますという。株式公開などの出口が見えている企業にはヘッジファンドからの資金は手軽で魅力的に写ることだろう。
そうは言っても基本的には足の速いヘッジファンドのこと、市場で売却が可能になれば彼らはあっという間に市場で売却して行くだろう。公開後の株価対策や資本政策上も留意が必要になりそうだ。
新しいプレイヤーが参画して市場が盛り上がるのは悪いことではない。大金持ちのヘッジファンドが参入してくる時代にあっては、VCはVCの特色を出して行かないと生き残れない、ということだろう。
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