400億円の資金を集めて全米に無線LANアクセスのためのインフラを敷き、これをユーザーに無料開放するという気前のいいベンチャー企業が現れた。
この企業はM2Z NetworksというシリコンバレーのMenlo Parkにあるスタートアップ企業だ。現在の資本金は1千万ドル(約11億円)くらいらしいが、この規模の会社が400億円の資金調達をしようというのには度肝を抜かれる。VC的に言えば、いったいどうやってそんな資金を集めるのか耳を疑いたくなる。さらにこのベンチャーのすごいところは、FCCに掛け合って、彼らのためだけに周波数帯を無料で15年間空けてくれるよう交渉しているところだ。日本ではSoftbankの孫社長のクラスでないとなかなか行政を動かしてやろうというところまではいきにくいと思うが、さすがはアメリカ、こういう壮大な計画を持ち出してくる人がいるようだ。アメリカでは、大きいことはいいことだ、ということなのだろう。
もっとも、似たような話はこのベンチャー企業だけにとどまらず、Googleやいくつもの携帯電話会社が進めているようで、今アメリカでホットな分野のようだ。Googleは他の企業3社とともにスペインのベンチャー企業、Fonに18百万ユーロ(約20億円)を出資したという。まぁこのくらいの金額ならばVC業界でもよくある金額なので驚くことはないが、今回の話は規模の点で他を圧倒している。
以前にも書いたがアメリカのブローバンドインフラは貧弱だ。僕のいるカリフォルニア州シリコンバレーでも、一般家庭での選択肢はADSLとCATVケーブルの2種類のみ、しかもADSLはPalo Altoの真ん中ですら100kbpsぐらいしか出ないしよく落ちる、CATVケーブルは$50/月ぐらいする、というように高コスト低パフォーマンスなのが実情だ。
M2Zのような無線アクセス企業が出てくることによってインフラの向上を期待したい。
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