ベンチャーキャピタルの世界でKPCBことKleiner Perkins Caufield & Byersと言えば知らぬ者のない超一流VCだ。彼らがシリコンバレーの成長に大きく貢献したと言っても過言ではないだろう。彼らが公開させた企業の一部を見ただけで、Lotus, Sun Microsystems, Quantum, Symantec, Xilinx, Genentech, Macromedia, Intuit, Sybase, Netscape, Citrix, Rambus, Amazon, VeriSign, Juniper, Ciena, palm, そして最近ではあのGoogleといった蒼々たる顔ぶれが並ぶ。みんなKPCBが育ててきたベンチャー企業たちだ。
KPCBという名前は創業(もしくはそれに近い)メンバーのラストネームを並べたものだが、この4人のうちの一人、Perkins氏は最近までHewlett-PackardのBoard memberだった。元々彼はCompaqのBoardで、CompaqがHPに買収された際にそのまま移ってきてHPのBoardに加わったらしい。HPはシリコンバレー最初のベンチャー企業のような存在らしく、今でもPalo AltoにはHP創業の舞台となったガレージが残されている。今やHPは世界に冠たるハードメーカーで、(最近はちょっと大変らしいが)、もはやベンチャー企業などと呼べるものではない。そんな世界的大企業の取締役会にベンチャーキャピタルの人が名を連ねているというのは驚きだが、よく考えて見るととても理にかなったポジションだ。
大企業の取締役になっていれば当然その大企業の戦略や方向性が見えてくるわけで、守秘義務契約などを結んでいるとはいえ、そうした地位にいると近い将来起こりうることが手に取るようにわかるであろう。またベンチャー企業側の動向を大企業に伝えるという機能も持ちえる。VCの世界ではそうした表に出ない内輪の情報が命なので、彼の地位は大変うらやましくも思う。
日本でも似たようなことは出来なくはないだろう。大企業の取締役が投資にも関与していくという例は、新興企業(たとえばライブドアとか?)の間だけでなく東証一部上場の有名企業にもある。こうした動きがもっと大きくなることを歓迎したい。
ところで、WSJ誌によるとそんな彼がHPの取締役を退任するという(原文はこちら)。残念な知らせだが、彼の残した足跡や彼のやり方は多くの後継者にとって参考になるはずだ。いつか彼の手記が出る日が来たら是非とも読んでみたいものだ。
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