英国の著名経済誌Economistは数あるニュースサイトの中でも中立・公正なコメントが多いと感じている。世界で何か出来事があったとき、Economistがどのように伝えているかを知るのは世界がどのようにその出来事を見ているかを知る上で参考になる。
今日のEconomist Websiteのトップニュースは先の参議院選挙へのコメントだ。投票日となった29日夜は日本中のテレビが参議院選挙の報道で騒がしかったが、Economistの見方を通して海外から見た日本の姿を知るのも参考になろう。詳しいところは原文を読んでいただくとして、主なところを引用して要約させていただこう。(原文はこちら)
(Ichiro Ozawa) He was relentless in attacking the prime minister’s many weaknesses, starting with his sense of priorities. Where Mr Abe is obsessed with ideological matters, such as revising the pacifist constitution and instilling patriotism in schoolchildren, voters are concerned about money. In particular, while Tokyo, Osaka and other big cities are enjoying the fruits of economic recovery, rural regions continue to miss out. Mr Ozawa’s party targeted rural constituencies, emphasising inequality and the problems of small farmers, and the tactic paid off.
「Economist誌は自民党敗北の一つの原因を小沢民主党代表による安倍総理への執拗な攻撃にあると見ている。小沢代表は安倍総理の政策の優先順位付けのセンスの無さを攻撃してきた。
And at every turn, Mr Ozawa’s party attacked Mr Abe’s competence, an easy enough target perhaps. A string of ministerial scandals and verbal blunders during Mr Abe’s brief administration suggest poor judgment at least. At worst, Mr Abe’s choice of cabinet and his inability to impose discipline on it suggests he is not up to steering the ship of state.
そして小沢代表は安倍政権下で起きた数々のスキャンダルを攻撃し、安倍総理の組閣能力と執務能力の無さを訴えた。
That was a successful tactic for this election. The LDP lacks a leader like the last charismatic prime minister, Junichiro Koizumi, to persuade the people to stick with painful reforms. But it is hardly a long-term electoral strategy. As for Mr Ozawa himself: he shows no desire to be prime minister. On election night he did not even come out to thank voters. His party said Mr Ozawa, a former heavy smoker with heart problems, was unwell. Others more uncharitably put it down to arrogance.
実際、この戦略(安倍内閣を攻撃することで民主党が相対的に優位に立つ戦略)はうまくいった。自民党にはカリスマ性のあるリーダーは存在せず、痛みを伴う改革を人々に納得してもらうことは出来ずに敗北した。しかしながら、自民党を攻撃した民主党にも長期的な戦略があるわけではなさそうだ。小沢代表自身、自民党に勝ったところで自分で総理大臣になる意図はなさそうで、投票日の夜に彼は人前に姿をあらわして有権者に感謝することもなかった。
With two deeply troubled parties a bleak period now beckons for Japanese politics as well as for the prospects for reform.
結局のところ、自民党も民主党のどちらも根深い問題を抱えており、日本の政治と(財政)再建への期待が裏切られそうな気配が漂ってきた」というような内容だ。
進むべき道を示せない与党と、個人攻撃しか出来ない野党。物事を単純化しすぎている気もするが、今回の選挙の一側面を的確に表現していると感じる。
足掛け4年に渡ってかかわってきた会社がようやくEXITする。海外の厳しい出口市場にあって何とかEXITできたことだけで純粋に嬉しいし、肩の荷が下りてほっとした。
この会社は欧米にある技術開発型ベンチャーで、技術的に優れたものを持っていたので早い時期から市場の注目を集めてはいた。しかし、実現にはまだ相当の時間がかかると危ぶむ声もあった。僕も投資家として1年間程会社の状況を静観した後、3年ほど前にリード投資家として投資を実行し、以来、取締役としてこの会社の経営にかかわってきた。
その後、たまたま大手日系企業がこの欧米ベンチャーに目をつけたのが2年前。僕はベンチャー企業の側に立ち、日系企業相手に半年近くに及ぶタフな交渉の渦中にいた。日本と欧米諸国の人々の商談の進め方や交渉の仕方はこうも違うものかと悩み、一時は意思疎通の不備から商談が破談しかける場面もあった。このベンチャーの取締役として、また日本人として、この日系企業の役員と小料理屋で直談判してなんとか相手を引きとめ。寝技足技使えるものは何でも使ってどうにか双方を再び交渉のテーブルに着かせ、どうにか商談をまとめさせることが出来た。
この商談が呼び水となって大きく飛躍するかと期待したのも束の間、技術開発が難航して計画が遅れだした。計画どおりに技術開発に成功すれば、多くの商談が期待され、それを見た投資家が殺到して膨大な資金が集まり、さらなる大規模な開発に着手して見る見る事業規模が大きくなって、やがては壮大な夢が現実のものとなるだろうと誰もが期待した。しかし、現実はそんなに簡単ではなかった。
技術開発が遅れた結果、顧客企業との商談が遅れ気味となり、これを見た投資家が躊躇して資金調達が不発に終わり、資金繰りに給することとなった。リストラを行い、内輪から小額の資金を何とか調達して窮地脱出を図った。その後、幸いなことにある企業が買収に興味を示し、再び半年以上に及ぶタフな交渉の末、ようやく双方が合意してベンチャーを買われることとなった。投資してからの3年間というもの、次々に問題が起こるのであまり気が休まらなかったが、この売買完了を以ってようやく一仕事終わった感じだ。
こうした交渉の渦中にいると、いろいろな人間の生き様が見えてくる。いつも冷静な人、論理的な人、近視眼的な人、熱しやすい人、肝が据わっている人、経験豊富な人、、、、この人には敵わないと思う人ばかりだ。僕自身、まだまだ経験が足りないようだ。
成功体験(というには大した成功ではないが)を通して生まれた信頼関係は何者にも変えがたい。このベンチャーを通じて知り合った人とは今後もうまくやっていけそうだ。一生のうちに何回こうした成功にめぐり合えるかわからないが、更なる経験を積んでいきたいものだ。
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