2月末、GoogleのEric Shumidt氏が公式の場で初めてGoogle Healthについて言及した。Google Healthは長いこと(2年以上?)開発が進められてきたが、ようやく正式にリリースするところまでこぎつけたようだ。Google Offcial Blogのエントリーを引用しよう。
Google Health, a first look 2/28/2009
... Eric's keynote marks the first time we've talked publicly about the product we've been designing and building. His talk also offered a deeper view into our overall health strategy.
このGoogleのOfficial Blogによると、Google Healthは下記の点がポイントらしい。
- Privacy & Security: 社内の諮問委員会 "Google Health Advisory Council"のもとでプライバシーポリシーを作成し、プライバシー確保に細心の注意を払う。
- Platform: 3rd Partyのサービスと連携しやすいプラットフォームを目指す。
- Portability: どこからでもアクセスできる。
- User Focus: 誰でも使いやすい。
上記のポイントはどれも重要なポイントだ。扱うものが個人の健康データだけに、漏えいでもしようものなら大変なことになる。そうしたセキュリティを確保した上で、利便性を提供しなければならない。なかなか大変だが、効率的な健康のモニタリング、適切な医療サービス、効果の高い薬の提供、ひいては医療費削減や副作用の低減など、至れり尽くせりのポテンシャルを持つ事業だ。Googleには大いに期待したいところだ。
ところで、こうしたネットによるヘルスケア・サービスのことを「ヘルス2.0」というらしいが、こうした事業を日本で展開することについては懐疑的な意見もあるようだ。日経BPのサイトに掲載された記事を引用させていただくと、
「ヘルス2.0で日本企業は失敗する」、その次を狙えと神戸大学の塚本氏 2009年2月27日
(中略)
こうした分野に日本企業は参入していけるのか。塚本氏は,「いつものようなシナリオ」として,次の5点を挙げた。
・単なる後追い,良くあるサービス
・センスの悪いサービス
・業界の厚い壁
・悪い政治の後押し
・失敗に対するネガティブなフィードバックによる破綻
という理由で、日本では難しいとのこと。
確かに医療業界、薬品業界の壁は厚そうだし、厚労省もどこまで乗り気かわからない。薬のネット販売が間もなく禁止されらしいが、そうした国がヘルスケア情報をネット利用することについてポジティブになるまでには相当な障害が予想される。
先の塚本氏は、こうアドバイスしている。
そこで必要になるのが,塚本氏の研究テーマでもある「ウェアラブル」や「ユビキタス」といったキーワードに象徴される実世界への展開であるとする。例えば,体にカメラやセンサを装着して日常生活を情報化することである。例えば,携帯電話機やゲーム,音楽プレーヤーなどと融合させてそれを実現することで,より楽しく生活習慣を見直せるのではないかと指摘した。
確かに、医薬品業界全体を動かすとなると途方に暮れるが、こうした民生品の分野からのアプローチは日本の得意分野だけに現実味もありそうだ。大いに注目したい。
最近のコメント