MicrosoftによるYahoo買収については今のところMicrosoftの提案をYahooが拒絶する形で膠着しており、双方の陣営で各種の働きかけが行われているようだが、そんな中、New York Timesの記者が面白いアイデアを表明した。MicrosoftはYahooよりもSAPを買収すべきだというものだ。
Maybe Microsoft Should Stalk Different Prey
... If Microsoft thinks this is the right time to try a major acquisition on a scale it has never tried before, it should not pursue Yahoo. Rather, it should acquire another major player in business software, merging Microsoft’s strength with that of another. This is more likely to produce a happier outcome than yoking two ailing businesses, Yahoo’s and its own online offerings, and hoping for a miracle.
...Microsoft does business software well. Approximately half its revenue comes from business customers for its e-mail infrastructure, database systems, developer tools, Office productivity applications and other mainstays.
... Professor Cusumano has a suggestion: Rather than acquire Yahoo, Microsoft should pursue SAP.
要約すると、MicrosoftはYahooを買収することでGoogleに対抗しようとしているが、Microsoftの売上の半分はエンタープライズ市場からきているのだから、本業を強めると言う意味ではネット事業の強化よりもエンタープライズ事業を強化する方が利にかなっている。そう考えると、Microsoftが買収すべきはSAPだ、というわけだ。
Microsoftは事業が大きくなりすぎ、焦点がぼやけて来ているかも知れない。元々は基本ソフトのライセンス販売からスタートし、オフィス・スウィート製品で地位を不動のものとし、さらにエンタープライズ市場(サーバー向け製品類)、ホーム市場、ネット市場へと次々と事業を拡大することで強大なパワーを手に入れた。しかし、
- Oracle, IBM, SAP, et al in enterprise software.
- Sony, Apple, Nintendo, Research in Motion, et al, in consumer gadgets.
- Google, Yahoo, Facebook, Time Warner, et al, in consumer media
と書き出してみると、Microsoftと競合する多くの有力企業は得意分野がはっきりしていることがわかる。現在のMirosoftは上記のすべての分野に関わっており、そうした「業界横断的にかかわっていること」がMicrosoftの強みなのかもしれないが、各分野の強力プレやー達が台頭してくると、経営資源を分散しているMicrosoftには不利になりかねない。Googleとの対抗は会社の命運をかけた戦いとなるだろうが、Googleの勢いは強く、Microsoftと言えども勝てるとは限らない。
そうしたリスクを冒すよりも、そもそもの強みであるエンタープライズ市場を強化したらどうですか、というのがNYTのStross氏の主張だ。
Microsoftが既にYahooに対して買収提案をしている現状では、今更方針を転換してYahoo買収をやめてSAPを買収しますとは行かないだろう。しかし、歴史をIFで考えることが出来るなら、経営戦略とM&Aの関係を考える上で大変興味深いケースだと思う。
事態の推移を見守りたい。
こんにちは 2004年くらいに合併寸前までいっていたのが、だめになっていますよ。カガーマンがいるかぎりまだないかも
投稿情報: | 2008年3 月 3日 (月) 17:10