Lending ClubというシリコンバレーSunnyvaleの会社がWeb上で個人同士の資金の貸し借りを仲介するサイトを運営している。お金を借りたい人と貸したい人をWeb上でマッチングさせるビジネスだ。
金融業者であろうが個人であろうが、他人にお金を貸すには借り手のことを調べるものだ。究極的には借り手として信用していいかどうかということなのだが、借り手が見知らぬ人の場合には職業、会社名、年収、過去の返済状況といった情報(信用情報)を調べ、この信用情報を元に貸し手は借り手を信用していいかどうか判断するわけだ。
Lending Clubが興味深いのは、SNSやブログ(アメリカではブログが実名で公開されることが多い)に公開されている情報を信用情報にしてしまおうという点だ。SNSやブログを見れば人となりがわかることがよくある。特にSNSは、個人の友人関係まで明らかになっているので、借り手が悪いことをしにくいという抑止効果も期待できる。そうしたWeb上の情報を信用情報と見なして、個人間の信用供与を仲介しましょう、というのがLending Clubの事業だ。実際、Lending ClubはSNS大手のFacebookと提携したらしい。Facebook上のユーザー同士であればお互いの情報を閲覧することで信用が生まれやすく、個人間のお金の貸し借りもしやすいのだろう。Webを使うことで(金融業者としての)中間マージンを削減しているということもあろうが、それ以上にWeb上の情報で信用補完させるところが面白い。
Lending Clubの借入金利は年利7.45%からという。貸し借りは相対、お金を貸したい人と借りたい人がいて初めて成立する。どんなにお金を借りたくても、自分を信用して貸してくれる人が現れれなければ成立しないので、信用状況が悪い人は必然的に金利が上がる可能性があるが、7.45%は金利のスタートラインとしては悪くない。定期預金金利が2~4%ぐらいの昨今の米ドル金利相場からすれば破格に安い金利だと思う。
Lending Clubの取り組みは、まだほんの出だしに過ぎないが、こうした動きが本格化すれば金融業界に少なからずインパクトを与える可能性がある。何しろ個人間の資金の貸し借りは金融業者を介さないので、こうした資金貸し借りの市場が広まれば金融業者のパイを奪うことになる。実際、Lending Clubに限らず似たような事業を行うサイトもいくつかある、例えばProsper、Zopa 、CircleLending 等だ。彼らの今後の動向が注目されるところだ。
Web上での信用情報を高めていくと言うのは、これから個人にとってもメリットがあることかも知れない。Web世界とリアル世界のつながりが益々強くなってきていると感じる。
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