ソニーのPlayStation3が発売されて久しいが、販売はいかほどのものだろうか。
ゲーム機としてPS3は、過去のPSマシンのような爆発的な販売は期待できないのかもしれない。しかし、ソニーが目指していたのは単なるゲーム機だけには留まらないようだ。
先週サンフランシスコで開催されたGame Developers Conferenceで、ソニーのPhil Harrison氏がVirtual Homeのコンセプトを披露したようだ。掲載された記事を引用すると、(原文はこちら)
Gamers will be able to log into the PlayStation Network, create their own lifelike avatars, move into and decorate a private apartment, and enjoy movies and music and play games with their friends. They can create their own fantasy lives, upload funny videos and customize their online experience.
Phil Harrison, president of Sony's worldwide game studios, unveiled Home in a speech at the Game Developers Conference in San Francisco on Wednesday.
そのコンセプトによると、ユーザーはPS3をネットに接続し、自分のアバターをPS3のネット空間で生活させることができるらしい。本質的にはSecond Lifeと変わらないような感じを受ける。しかし、PS3に搭載されたCELLチップの圧倒的な画像処理能力のおかげでPS3ネット空間では現実に近い仮想世界を描くことも可能だろう。画像処理能力の高さについてはPS3の右に出る者はいない。仮想世界を構成するさまざまなコンテンツ、たとえば山・川、木・花といった自然のものから、ビルディングや自動車といった人工的なもの、さらに自分の分身であるアバターを高い精度で描くのは手間がかかるが、これを効率的に描画出来るツールが開発されれば、現実と見まがうばかりの仮想世界を簡単に作ることが出来よう。PS3の仮想世界を発展させるには、誰でも簡単にコンテンツを描けるツールの発達がかかせないと思うが、ひとたびツールが出来さえすれば、PS3の現実感のある仮想世界に引かれるユーザーは少なくないのではないか。そうした仮想空間では競合技術でありえなかったコンテンツ、たとえば仮想空間にいながらハイビジョン画質の映画を見る、なんてことも出来よう。PS3のネット空間は、ネットとAudioやVisualの世界の融合を加速させるものになるのかもしれない。
でも、現実はそう簡単ではないようだ。
Ironically, Microsoft considered doing a virtual world a few years ago. A source familiar with the matter said Microsoft decided not to because it didn't want to pull players out of the games they were playing. Microsoft partners, the game publishers, might have been angered if the virtual world was so interesting players stopped playing games altogether. Sony will have to deal with that problem down the road.
マイクロソフトは何年か前にXboxを使って仮想空間を作ろうとしたらしいが、結局のところ止めたらしい。仮想空間が魅力的になればユーザーはゲームの使用を控えかねず、ゲームソフトが売れなくなってしまう。ゲーム業界の構造変革を招きかねないだけに、安易に仮想世界に注力するのも考えものだったようだ。これはソニーも直面しかねない問題だ。さらに、
Second Life, the virtual world created by Linden Lab, also has considerable momentum. Sony isn't likely to pull people away from that world. Nor will it bring back the people who went to MySpace in search of cool music services, or the video watchers who go to YouTube. Harrison said Sony isn't directly trying to take on any of those competitors; it's doing something altogether different.
先行するSecond Lifeの勢いは激しく、Second Lifeのユーザの取り込むのは後発のソニーには難しいかもしれない。MySpaceやYouTubeで時間を潰しているユーザを取り込むのも容易ではないだろう。つまり、後発ソニーの周りには競合がひしめいている、というわけだ。
このようにPS3のネットビジネスの前途は簡単ではないようだが、家庭にハイビジョンテレビが浸透して高精彩画質にユーザが慣れ始めた今日、ネットの世界も高精細化に向かうのではないかと想像している。ソニーは「買い」かもしれない。
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