欧米のVC投資の世界では、投資しているベンチャー企業のCEOに交代を迫るときがしばしばある。これが簡単ではない。
株式会社のシステムでは、株主は出資することで会社を所有すると同時に経営を経営者に委託する。経営者を信じることが出来なけば委託する気になれず、投資家はいつも経営者を信頼できるかどうかに細心の注意を払っている。経営者に会って話をしたり、いろいろと経歴や素性を調べた挙句、「この人なら大丈夫」と思えるときだけに投資する。
ところが、最初はいい感じに思えた経営者も、出資した後に幾多の試練を経るうちにそれまで見えなかったものが見えてくるものだ。株主と経営者の関係は「結婚」とよく似ている。人間誰しも長所短所はあるものだから細かいところには目をつぶりましょう。離婚なんてしたらお互い不幸で疲れるだけだし。でも、時にはどうにも我慢がならない事態が起こることがある。たとえば、
- 事業計画をほとんどまったく達成できない。いつも市場環境などの外部要因のせいにし、内部要因を省みない。
- 節操がない。事業計画をころころ変えすぎる。現場が混乱し、何をやっているのかわからなくなる。
- 人望がない。従業員がついてこない、従業員とトラブルを起こす。
などなどだ。ベンチャー企業の株主達(多くの場合取締役兼任)は、なんとか現在の経営者を支援してやっていこうとするが、我慢も限度に達すると経営者を変えようという話になる。うまくいっていないベンチャー企業ほどしばしばこの手のことが起こる。
これは株主にとっては苦渋の決断だ。なぜなら、実際に経営者を交代させるには、まず現経営者を説得してトラブルなくやめてもらうこと、苦境を救ってくれる代わりの経営者を見つけ出すこと、移行期間中に社内体制の動揺を最小限に抑えてオペレーションをまわし続けること、、、といったことをこなさなければならないが、どれもこれも難問だ。実際、これらのポイントについてしばしば問題が発生し、裁判沙汰になったり操業が危機的状況になったりする。そして何より、誰かをやめさせるというのは誰しも良心の呵責に耐えないものだ。
それでも投資家としては投資した資金を回収してリターンを得るべく、必要な措置を取らなければならない時があり、欧米のVC投資の世界では頻繁に起こる。代わりのCEOになりえる人材をどれだけ知っているかがVCの力量だったりする面もある。僕自身もCEOを変えて業績が急上昇した会社を知っている。投資家というのはつらい仕事だ。
これは耳の痛い話です。
変えられないように努力します。
おそらく従業員よりも会社のトップのほうが
責任の重さや人件費の観点で
クビのリスクは高いのでしょうね
投稿情報: はる | 2006年9 月20日 (水) 10:22