どんな企業でも資金調達にはデッド(借入)かエクイティ(増資)のどちらかを選ぶわけだが、米国ベンチャー企業の場合には圧倒的にエクイティが使われるものだと思っていた。
ところが最近、デッドとエクイティを組み合わせて使う例が散見されるようになった。しかもシリーズAにおいてすらこの組み合わせの例を見ることが出来る。シリーズAというのは「優先株を発行する外部投資家からの資金調達」でしかもそれが初回であることを意味する。分かりやすく言えば、小さな会社だということだ。だから、シリーズA段階の小さな会社が資金調達に際して借入と増資を同時に行う例がある、ということだ。これはちょっとしたカルチャーショックだ。
そんなケースをよく見ると、サービス業だった。通常デッドファイナンスはキャッシュフローの目処が立たない会社には資金を出さないはずだが、おそらくサービス業なので小資本でもキャッシュを生み出すことが出来たのだろう。で、事業拡大のための資金調達に当たってデッドとエクイティを組み合わせて、資本構成や資本コストをうまくバランスさせようということのようだ。
日本のベンチャー企業でも利益が出ていればどこかの金融機関が資金を貸すこともあるのだろう。そういう意味では日本のベンチャー企業にとってこの話は目新しくないかもしれない。でも、この例のようにデッドとエクイティを組み合わせていっぺんにすべて完了させるという形が一つの典型的なファイナンス形態となり本格的に導入されるようになると、ベンチャー、VC、貸金業者すべてにとってメリットがありそうな気がしておもしろい。
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