日本のベンチャー企業投資の世界では多くの場合普通株を使うようだ。投資家はベンチャー企業に投資する際、出資金の対価として普通株を取得する。普通株とは特別な権利が何もついていない文字通り「普通」の株券のことで、株式市場に上場された株式を売買する際にもこの普通株を使う。その意味ではシンプルでいいとも言える。VECの調査によるとどうやら8割が普通株を使い、それ以外の手段は2割しかないらしい。
ところが欧米投資家の目から見ると、ベンチャー投資に普通株を使うというのはとても変わって見える。
欧米のベンチャー投資の世界ではほぼ100%優先株を使う。つまり投資家はベンチャー企業に出資するかわりに、「特別な権利」がついた優先株を取得するわけだ。「特別な権利」にはいろいろな項目が含まれるが、ほぼ確実に含まれるのは①「会社の売却時や倒産時に優先的に投資額の何倍かを回収できる権利(残余財産優先分配権)」だろう。この条件によって投資家の出資金は普通株などの他の株式よりも優先的に取り扱われ、投資家の出資金が多少は保護されることとなる。
さらに、②「将来株価が下がったら、下がった分に見合うだけの株を追加発行させる権利(希薄化防止条項)」などが追加されることも良くあることだ。ちなみにこの②については日本でも普及し始めているようだ。
こうした株式投資時のテクニックにより、欧米のベンチャー投資家は日本の投資家よりも保護されている、逆に言えば株式の種類に関する限り日本の投資家は不利な条件で投資していると言える。
しかしながら、株式種類の劣勢を補って余りある慣例が日本のベンチャー投資の世界にはあるようだ。おいおいご紹介したい。
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