今日は、半導体技術の発展により、パソコンの中の大方の部品がいづれは一つの半導体に収まってしまうだろう、という話。
半導体はムーアの法則に従って18~24ヶ月毎に2倍の集積度を実現してきており、CPUはますます高速化している。しかし、周辺部品がそのスピードについていけないようだ。中でもボトルネックになってきているのがメモリー(DRAM)、およびCPUとメモリーを結ぶバスらしい。そんな状態では、いくらCPUのパワーをあげてもパソコン全体の処理スピードは上がらない。
そんな事情があって、IBMが新しい半導体を発表したそうだ(Businessweekの記事参照)。
a new approach to computer chip design unveiled by IBM on Feb. 14 at the International Solid State Circuits Conference, a chip technology event in San Jose, Calif. IBM calls the approach eDRAM—the "e" stands for "embedded"—and says that combining the two types of chip onto a single piece of silicon will substantially improve processor performance. IBM plans to integrate this technique into its chips beginning in 2008.
"eDRAM"と言うらしい。この"e"は"embedded"、日本語に訳すと「組み込み型」といったところで、つまり組み込み型のメモリー、ということになる。CPUチップにメモリーを一緒に搭載してしまうことで先にあげたようなボトルネックを解消しようということのようだ。IBMの担当者によれば、この手法ではメモリー搭載量に限りがあることから主流の技術になることはないだろう、と謙遜気味に説明してるらしい。でも、このようにメモリーをCPUチップに混載しようという動きが出てくれば、その延長でどんどん混載してしまおうという動きが出てきても不思議ではない。最終的にはパソコンやデジタル製品に使われている半導体はどれも1チップで事足りてしまうという世界が想定される。そんな時代には、パソコンは今のような形態である必要はなく、I/O、つまり適当な入力装置と適当な出力装置があればどんな形でもOKということになるだろう。
半導体の世界ではここにあげた「混載」の技術に加え、最近流行のマルチコアといったような技術の進歩には枚挙に暇がない。でも突き詰めて言えば半導体技術の進歩の方向性は、より多くの機能を単一のパッケージに取り込み、より小さく、より低消費電力で実現する方向に向かう、ということのようだ。
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