パソコンの中で動いているCPUの王者と言えばもちろんIntelだが、最近は2番手のAMDにやや押され気味。こうした状況を変えるべくIntelはワイヤレスの分野に展開することで活路を見出そうとしているようだ。
WSJ誌によれば、Intelは北米や欧州に展開するワイヤレスインターネットアクセス業者のClearwire社に6億ドル(約700億円)を投資するようだ。この投資にはMotorolaも3億ドル(約350億円)で参加するらしい。この投資額はもはやベンチャー投資の域を超えて、プロジェクトファイナンスに近い。
Intelは以前から"centrino"ブランドを自社で立ち上げ、無線LAN(WiFi)用のチップを販売してきた。2000年代に入ってからIntelはWiFiチップを拡張してより遠距離の通信が可能になるWiMAXに投資してきたという噂があったようだが、そうした投資が実ってWiMAXチップの製品化が完了したのであれば、次はWiMAX市場を拡大したいと願うはずだ。今回のClearwireへの投資は、WiMAXチップを販売したいIntelの意図を受けてなされたものではないかと見ている。
しかしワイヤレスの世界は競争が厳しい。屋外通信技術としては既に携帯電話の各種規格が普及しているし、加えて先進諸国では固定通信回線のブロードバンド化も着実に進んでいるのでワイヤレスで大容量の通信をしたいというニーズが後退気味だ。時間が経てば経つほどこれら競合技術が優位に立ち、WiMAXにのめり込んでいるIntelは苦境に立たされる可能性がある。
Intelは直近で純利益が78億ドル、資本金が340億ドルもあるので、今回の投資額である6億ドルは全体からすればまだ許容範囲だろう。純利益の10%にも相当する資金を次世代市場に投じたと見ることも出来る。大きな賭けに出たことは間違いない。
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