SunのScott McNealyが遂にCEOを退任した。引き続きChairmanとして影響力を行使するであろが陣頭指揮を取る立場ではなくなった。彼はIntelのAndrew Glove、OracleのLarry Ellison、CiscoのJohn Chanberseらと並んでシリコンバレーの顔役だったが、バブル崩壊とともに凋落は誰の目にも明らかでいつかこうなるとは思っていた。その日がついに来たという感じだ。
Sunは創業以来コンピューターを相互連携することに長けていた会社だ。ネットワーク上でファイルを共有管理するシステム(NFS)や独自アーキテクチャのSPARCチップ、さらに90年代にはJAVAの開発などで一斉を風靡し、90年代後半にはインターネットやエンタープライズサーバーと言えばSunという時代があった。しかしながら売上の多くをハードウェアに依存する典型的な「ハードウェア企業」であったためか、ハードウェアの製造分野を外部ベンダーに開放して価格を下げる方向にはベクトルが向かず、多分価格が高止まってしまい、気がつけばいつの間にかWintel陣に価格性能比で大きく水をあけられてしまった。その後、Linuxに対抗するために虎の子のSolarisをオープンソース化したり、最近ではSPARCアーキテクチャをオープンソース化するなど斬新な手を打ち、その甲斐もあってか業績が回復基調にあるようだが、一頃のような輝きはない。UNIXは今後も必要な分野であろうが、基本的にはニッチなプレイヤーでしかなくなってしまったように感じる。
半導体の世界にはムーアの法則があって、チップの集積度が1.5~2ヶ月で倍増するという歴史を辿ってきたわけだが、コンピューターハードウェアはこの半導体の性能向上の影響を直接受けて際限のないパフォーマンス拡大競争、あるいは低価格化競争に見舞われてきた。その結果、この市場(特にPC市場)で収益を上げられるのは限られた半導体を半独占的に販売する業者か、低コストで製品を製造・販売・流通できる業者に絞り込まれてきた。Sunはこうした動きとは一線を画し、サーバー分野に求められる付加価値を高めることで収益を確保しようとしたが、結局のところ攻め入るIA陣の前に出来ることは限られていた。
ハードウェア事業の収益の源泉が、半導体などの小さな部品やサービス等付加価値の部分に移行している流れ中でSunが取り得る戦略は限られている。オープンソースの時代にあってはユーザーを味方につけなければ競争には勝てず、その意味でOpen SolarisやOpen SPARCの戦略は間違っていない。あとはこれらの流れがどれ程のコミュニティを形成し収益を生んでいくことが出来るか、チャレンジが続くことになるのだろう。
一頃ほどの輝きはないとしても、ハードウェア業界の行く末を見る上でSunはまだまだ忘れてはいけない存在だ。
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