米国で最高ランクに位置づけられるVCにはおしなべて知名度の高い名物キャピタリストがいるようだ。こうしたキャピタリスト達は投資家としての能力もさることながら、投資した企業を成功へと導く指導力の点でとても重要な役割を果たすと見ていいだろう。
うちのオフィスの近くにベンチャー企業があるのだが、その企業はとても先進的な技術に取り組んでいて、2年前だったらマーケットが立ち上がっていなかったと思える事業領域でマーケットを作り出し、その分野でオンリーワンのリーダーになってしまった。バックには大御所のKPCBがついているらしい。市場の1歩先を行く技術を開発しているベンチャー企業は世の中に数多いが、市場よりも早すぎるためか市場形成に苦労することが多い。それなのにKPCBのような大御所たちの手にかかるとどういうわけかそうした先進的なベンチャー企業たちは市場形成に成功し、大成功してしまうことがよくあるのだ。「カリスマの指導力」とでもいうものなのだろうか。かくしてカリスマ型VCは米国におけるVCの典型だと考えられているように思う。
もしカリスマ達に悩みがあるとしたら、カリスマ依存のVCは、カリスマの数で事業規模が決まってしまうことだろう。カリスマがそんなにゴロゴロといるわけでもない。スケーラビリティに欠けるというか、ある程度の規模にまでしか拡大していけない限界点のようなものがあるのかも知れない。
でもシリコンバレーではよくしたものでカリスマには頼らずチーププレイを前面に押し出す有名VCもある。そうしたVCでは個々のメンバーのレベルも高いが、分業とコラボレーションに重点が置かれチームプレイに徹するように求められているという。
なんだか、サッカーで南米の個人技と欧州のチームプレイのどっちが強いかという議論に似ているような気もするが、チーム型VC対カリスマ型VCの試合の歴史はまだ浅いため、どちらが勝っているのかまだ結論は出ていないようだ。
しかし、コンサルティング業や弁護士事務所といったVCと似たような(似たように思える)業界では世界的な大企業が出現していることを見ると、VCが企業として大きくなっていくということもありえるのだろう。個人的にはチーム型VCにより多くの可能性を感じ、その動向にとても関心を寄せている。
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